スポラディックE層(Eスポ)とは?
FMあばしりを聴いていると、突然「ジャ○ネットた○た」のCMが流れてきました。「おお、FMあばしりもすごく有名になったもんだ」などと思っていると、あれ?聴きなじみのないパーソナリティーさんの声と番組が・・・
これ、春から夏にかけてよく起こる、電離層による電波の反射(スポラディックE層、通称Eスポ)なのです。
これはなんぞ?と思われる方がいらっしゃると思います。ここでは、このEスポがラジオにどんな影響を与えているかを、ざっくりとした感じで説明しています。
無線の知識がある方からしてみると、「違うベや!」と思われる表記も多用しています。誰でもイメージしやすくするために、あえて表現していますので、目をつぶっていただけますと幸いです。(管理人は、1級陸上特殊無線技士、3級アマチュア無線技士の有資格者です)
電波の強さの考え方
ざっくり言いますと、電波の強さは、「W」という表現を使います。決して、「草」とか「笑」とかという意味ではなく、「W(ワット)」です。消費電力に多く使われています。コンビニ弁当にも、「500W 1分」とかって電子レンジの温め時間が書かれていますが、数字が大きいほど「強い」となります。
どこかのページにも書きましたが、FMあばしりの電波の強さは「20W」。ここで比較対象としている某Air-Gの網走送信所は「250W」の強さです。
うち、FMあばしりの入りが悪いんだよね。Air-某だとキレイに入るのに・・。と言う方は、そもそも、同じ天都山から電波は送信しているものの、強さが違うからFMあばしりの入りが悪いというわけです。
電波の飛んでき方
電波は目に見えないので、どんな風に飛んでるかはわかりません。でも、人間の目で電波が見えたとしたら、景色なんて見えないぐらい電波だらけになっていることでしょう・・・。
さて、電波の飛んでき方ですが、送信所からあちらこちらへ電波は飛んでいきます。
本来なら、水平偏波と垂直偏波、アンテナエレメントの構成、周波数帯と電波の特性などなど、いろんな要素がありますが、まっ、とにかく電波は全方向に飛んでいると理解しておいてください。
スポラディックE層があらわれた!
春から夏の、地上からおよそ100kmぐらいの所に、突如として現れるスポラディックE層。
宇宙に向かって飛んだ電波の行き先
先ほど、電波は全方向に向かって飛んでいくと書きました。
宇宙に向かっていくのは、FMあばしり名物番組「リハラジ」だけかとお思いでしょうが、電波も宇宙に向かって飛んでいっているのです。
ここでは、福岡の「CROSS FM」さんの話題を書いてみましょう。
CROSS FMさんは、FMあばしりと同じく周波数は「78.7MHz」。普通は、山とか富士山とかあって、地上を伝わって電波はまずオホーツクまでは届きません。
ところが、先ほど発生したスポラディックE層が、絶妙な位置にあると・・・
電波を反射して、オホーツク圏にビームのように、CROSS FMさんの電波を届けてくれちゃいます。
ではなぜ、FMあばしりの放送がかき消され、CROSS FMさんの放送がクリアに入るようになるのか。
これは、CROSS FMさんの電波の強さに秘密があります。CROSS FMさんの電波の強さは「3000W」なのです。
宇宙に行って跳ね返ってきても、FMあばしりの「20W」より強い電波が、オホーツク圏に降り注いでいるわけです。
電波には、直接波、反射波、回折波などなど、いろんな方法で届いてきます。
山岳回折などどいう、不思議な現象もあります。詳しく知りたい方は、レッツ検索!
CROSS FMさんの放送がクリアに入るのは、一時的なモノです。しばらく聴いていると、FMあばしりの音声の方が強くなったり、弱くなったりと刻々と変化して、最後はFMあばしりの放送がキレイに入るようになります。
これは、スポラディックE層が移動したり、形を変えたりしているためです。
上の図だと、CROSS FMの電波を反射し続けていますが、位置がずれたため、釧路方面へ電波を反射しています。
コレで、オホーツク圏でのCROSS FMとの混信は解消されました。
釧路方面で混信するのでは・・?と思われる方もいらっしゃると思いますが、釧路方面で「78.7MHz」の放送局がなければ「無問題」なのです。
Eスポの季節の対策
Eスポは神出鬼没なため、対策は難しいのが現状です。
そして、Eスポを離散させるような事も、今は出来ていません。
あくまでも自然現象なので、福岡の香りをしばらく楽しむか、サイマル放送を聴くかしか対策はありません。
放送では邪魔者なEスポですが、無線でお話ししている人たちには、「おおおおおおっっ」という現象でもあります。
この反射で、ふだん電波が届かなくてお話しできない、遠くのエリアの方とお話しできるチャンスなのです。
電波は不思議なモノです。面白いな、と少しでも思ったら、ぜひ、無線技士の仲間になってくださいね。携帯電話が災害などで麻痺しても、通信ケーブルが切れて放送がされない状態になっても、バッテリーと無線機があれば、声を出すことが出来ます。そして、誰かに届けることが出来ます。
アマチュア無線技士4級は、試験でも、講習でも取ることが出来ます。そして、4級だと20Wの電波を出すことが出来ます。(勧誘)